【国内正規品】MonsGeek(モンスギーク) FUN60 Pro SP 有線モデル HEセンサー 0.01mm ラピッドトリガー対応 磁気スイッチ Akko Glare Magnetic Switch 英語配列 テンキーレス サイドプリント 有線8K ホットスワップ SnapKeys (SOCD)対応 ARGB対応 高コスパ ゲーミングキーボード White
¥5,980 (2025年4月26日 13:05 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 100W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 16 / 15 Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (0.9m ミッドナイトブラック)
¥1,790 (2025年4月26日 13:09 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
![]() |
墓場文庫が開発し,集英社ゲームズが販売するオカルトミステリーアドベンチャー「都市伝説解体センター」(PC / PS5 / Nintendo Switch / iOS / Android)は,その名のとおり,多種多様な都市伝説が登場する作品だ。
都市伝説とはもともとアメリカの民俗学に依拠した概念で,「近代化された社会(あるいは調査者と同時代の社会)において,『知り合いの知り合い』に本当に起きた出来事として出回っている話」を指す(廣田龍平「ネット怪談の民俗学」より)。ヤン・ハロルド・ブルンヴァンによる1981年の書籍「消えるヒッチハイカー」が1997年に翻訳されたことで,日本語圏でも「都市伝説」という言葉が知られるようになった。
本稿では「都市伝説解体センター」に登場する都市伝説をピックアップし,その元ネタが実際にはどのように語られてきたのかを紹介したい。本稿が作品への理解を深まる一助になれば幸いだ。
※ゲーム中の都市伝説を一話ずつ紹介していくため,本稿には「都市伝説解体センター」のネタバレが含まれている。未プレイの人は注意してほしい。
![]() |
プロローグ:呪いの椅子
![]() |
ゲーム開始後,チュートリアルパートで主人公の福来あざみが真っ先に座ってしまい,事件に巻き込まれるきっかけになるのが「呪いの椅子」だ。
この椅子はイギリスのノース・ヨークシャー州に伝わる「バズビーズチェア」というものが元になっている。
トーマス・バズビーという男は,義父であるダニエル・オーティーとともに偽造貨幣を作っていたが,ある日ふたりは口論になった。バズビーが帰宅すると,義父が彼の愛用の椅子に座っていたため激怒,のちに義父を殺害する。
そのかどで逮捕されたバズビーは1702年に絞首刑に処され,その遺体はとある宿屋近くの柱に晒された。なお,その宿屋はバズビーの柱(ストゥープ)が見える場所ということで「バズビー・ストゥープ・イン」なるパブとして営業し続け,2012年に閉鎖されるまでその名を守り続けた。
![]() |
バズビーは絞首にかけられる直前,自分の椅子に座る者はすぐに死ぬだろうという呪詛を投げかけた。呪詛のとおり,その椅子に座った人物は次々に死んでいき,被害者の数は60人を超えたという。
1978年,パブのオーナーは危険を感じ,この椅子を「サースク博物館」へ寄贈。以降は誰も座れないように博物館の壁にかけられており,今でもサースク博物館へ行けば実物が見られる。画像で見る限りだと,何の変哲もないオーク材の椅子である(もちろん,座ってはならない!)
ストーリーの中の「呪いの椅子」はバズビーズチェアと明言されているわけではないし,あくまでチュートリアルなのでそこまでディープに取り扱われているわけではないが,「研究のために借りたもので,1千万円ほどした」といった旨のセリフがあるため,やはり何かとんでもないいわくつきの品であるのは間違いないだろう。なお,ゲーム内では呪いの椅子の座面に毒針の仕掛けがあったということになっているが,バズビーズチェアに座って死んだ人間の伝説に毒が関係したという話はないので,その点はクリエイターの味付けなのだろう。
第1話:ベッドの下の男
![]() |
「ベッドの下の男」は,特にアメリカを中心に語られる都市伝説で,不審者や殺人鬼がホテルや民家のベッドの下に潜んでいるという話だ。都市伝説らしくいくつかのバリエーションがあり,まず一般的なものを紹介する。
ある若い女性が夜遅くにホテルの部屋へ戻り,ベッドの上でくつろぐ。しかし,何かがおかしいと感じた彼女は,ふとした拍子にベッドの下を覗くと,そこに何者かが隠れていた。女性は何も気づかなかったふりをしてすぐに部屋を出て,フロントに助けを求める。警察が駆けつけると,犯人はまだベッドの下に潜んでいた……という話だ。
この話は90年代に日本でも流行しており,都内の女子大生のあいだでウワサになっていたり,レディースコミックの題材にされたりしている。
ゲーム内でも同様に女子大生のキャラクターが被害に遭うが,オチにひと捻りあるのが面白い。被害を受けている友人を早く安心させたいあまりに「ベッドの下に荷物を置いてしまえば出てこられないのでは?」と短絡的に考えるあざみにも笑ってしまう。
しかしながら,この話の本当に恐ろしい点は,ほぼ同様の事件が何度も起きているという点だ(ほかの都市伝説と異なり,超自然的な現象ではないので……)。アメリカでも日本でも,地域を問わず同様の事例は発生しているので,一人暮らしの人などは特に気を付けていただきたい。
第2話:ブラッディメアリー
![]() |
「ブラッディメアリー」の伝説は,主にアメリカで噂されている都市伝説だ。暗い部屋で鏡の前に立ち,彼女の名前を何度か唱えると,血まみれの女性の幽霊が現れるというもの。幽霊が現れた際には,鏡の中から手を伸ばして顔を引っ掻いたり,恐怖で相手を殺したりするというバリエーションが存在する。
この伝説は子どもたちのお泊まり会などでよく語られ,実践されたという。この都市伝説自体は1970年代から流行しだしたものだが,大元は200年以上前の儀式にあるようだ。1786年のロバート・バーンズは自身の詩「ハロウィン」の脚注で,英国で行われていた鏡の儀式について語っている。
主に若い女性が将来の配偶者の顔を見るために鏡を覗き込むが,未婚のまま死ぬ定めにある人であった場合は,鏡に死神の顔が映るのだという。
![]() |
この話にもいろいろなヴァリアントがある。ゲーム内では「“メアリー”と3回唱える」という儀式が必要だとされているが,13回という説もあるし,追加で水をかけたり,自分が回転したりする必要があったりする。
また,この話の下地になっていると考えられる人物として,メアリー1世とエリザベート・バートリがいる。
メアリー1世は16世紀のイングランドの女王。多くのプロテスタントを火刑に処したことで「ブラッディメアリー」の悪名を持っている。エリザベート・バートリは16世紀ハンガリーの貴族で,若い女性の生き血を浴びて若返ろうとしていた人物だ。
実際の都市伝説では血塗られた惨劇の儀式という印象だが,ゲームではそのイメージを完全には借りず,ウェットなドラマに収めていったのが上手いところだった。
第3話:異界
![]() |
第三話では「異界」を扱っているが,異界という概念の範疇は広く,学術的な説明を調べ始めるときりがない。そのため,都市伝説として有名な異界であり,ゲーム内の表現としてより近いものである「きさらぎ駅」にフォーカスして考えていきたい(作中でもギリギリそう読めなくもない名前の駅が登場している)。
きさらぎ駅は,日本の有名な都市伝説のひとつであり,異世界に存在するとされる架空の駅だ。2004年に2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)のオカルト板の「身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26」に投稿された内容が発端である。
投稿者の「はすみ」は実在しないはずの「きさらぎ駅」に電車が到着し,奇妙な出来事に巻き込まれるという体験をリアルタイムで書き込んだ。
はすみは深夜に電車に乗っていたが,電車はいつまで経っても目的の駅に着かず,いつしかきさらぎ駅なる駅に停車していた。駅は無人で,周囲には何もなく,携帯電話もつながりにくい状態だった。
![]() |
遠くで鳴っていた太鼓や鈴の音が近づいてきたり,片足だけの老人と出会ったりと,奇妙な雰囲気に不安を感じながらも,投稿者は2ちゃんねるのスレッド内で助言を求めながら行動する。最後は近くの駅まで送ってくれるという人に出会うも,様子がおかしいので隙を見て逃げようと思っていること,バッテリー残量が残り少ないので最後の書き込みになることを書き込み,更新は途絶えた。この展開が多くの人の想像力を刺激し,都市伝説として広まった。
この都市伝説は以降も定番のネタとして日本のネットコミュニティに親しまれ,きさらぎ駅に行く方法や,自分も奇妙な駅に迷い込んでしまった……などのヴァリアントも作られている。
![]() |
しかし,2004年以前も異なる世界の駅に迷い込んでしまったという話自体は存在しているようで,常光徹著「学校の怪談2」には,ある病院まで来いという電話に従って電車に乗ると,1945年の戦時中の駅に着いてしまったという話がある。
ほかにも,不規則な高さのビルや薄紫色の空が広がる空間に停まる「あまがたき駅」や,山奥へ繋がる細い道が覗ける無人駅「お狐さんの駅」など,いわゆる「異界駅」の話は枚挙にいとまがない。
また,はすみが乗った遠鉄鉄道では,きさらぎ駅のホームページを開き,関連グッズを発売するという粋なコンテンツを展開している。お近くの人はチェックしに行ってみてもよいのではないだろうか。
ゲームではオカルトツアーという設定に加え,地下鉄の駅という空間の物理的な危険性もフィーチャーされていて,なかなか冒険心がくすぐられる話となっていた。
第4話:コトリバコ
![]() |
これまたきさらぎ駅と同様に,ネットロアとしては最強クラスの知名度を誇るものだ。
「コトリバコ」(子取り箱)は,2005年頃に「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」のオカルト板に投稿されたものが発端となっている。呪いの力を持つとされる箱(コトリバコ)にまつわる恐怖体験を描いた話だ。
コトリバコは「子取り箱」から来た名称で,島根県の山間部に伝わるとされる呪いの道具だ。女性や子どもの体の一部が封じられた一辺20センチほどの箱で,箱の近くにいる女性や子どもは内臓が千切れて死んでいくというすさまじく強力な呪いの力を持っている。箱を作る過程で犠牲になった子どもの数によって「チッポウ」「ハッカイ」などの種類があり,呪いが強力になっていく。
![]() |
コトリバコは,隠岐騒動(1868年に実際に起きた事件である)という戦からとある集落へと落ち延びてきた男が,命を助けてもらう代わりに地域に教えた武器とされている。
また,コトリバコには前身とされている怪談がある。それが「後悔の木箱」だ。こちらは2001年1月29日にウェブサイト「Alpha Web 怖い話」に掲載され,ほぼ同じ話が同年4月11日に2ちゃんねる「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?4」スレッドにも掲載された。
こちらの話に出てくる箱は,ルービックキューブのように木目を合わせると開くもので,中に「天皇ノタメ 名誉の死ヲタタエテ」と記されたぼろぼろの布袋が入っており,さらにその中には大量の爪と髪束が詰まっているのだという。それらを開いた人間と周囲にいる人間は呪われ,後日事故に遭って死んでしまうそうだ。たしかにコトリバコに似たセンスを感じる怪談である。
![]() |
ゲームでは,あざみが手がかりを求めて田舎に向かったり,箱の近くにいた女性のほうがダメージを受けたりと,実際の都市伝説の内容と非常に近いストーリーが展開された。
第5話:ドッペルゲンガー
![]() |
おそらく本作に登場する怪異のなかでも最も有名なものだろう。だが,ドッペルゲンガーは正確には都市伝説ではなく幻覚(及びその後に訪れる超常現象)の一種だ。自分の分身を二度見てしまうと近いうちに死ぬ,というものである。
この伝承はかなり古くから主に西洋で語られてきた歴史があり,ゲーテや芥川龍之介やモーパッサンといった文豪や,ロシアの女帝であるエカテリーナ二世などが自分の分身を目の当たりにしたという。
現代においてドッペルゲンガーは,基本的には脳障害や統合失調症などによって引き起こされる幻覚症状の一種だと考えられており,怪異と断定するのは難しい。しかし,19世紀のフランス人エミリー・サジェは同時に40人もの人々にドッペルゲンガーと出くわしているところを見られており,科学的に説明がつかないケースもある。
![]() |
ちなみに,ドッペルゲンガーを下地にした都市伝説はほかにもいくつかある。こいとさんはいい例だ。こいとさんは死ぬ瞬間の目撃者本人の姿をしているとされており,やはり二度出会うと死んでしまう。出現する前兆として,小銭入れから五円玉がなくなる,2か月以内にペットが死ぬ,知らぬ間に左薬指に針で突いたような穴ができる……とされていて,兆候が見えたらできるだけ人と行動するとよいのだとか。
ゲームでは,ドッペルゲンガーの正体をかなりアクロバティックに説明しており,怪異そのものはあまり深く掘り下げられていない。
第6話:鮫島事件
![]() |
本作のフィナーレを飾る都市伝説。鮫島事件とは,何らかの理由で各メディアから隠蔽されている謎の事件であり,詳細を聞いても「これ以上話すな」「知るとやばいぞ」「検索してはいけないワードだ」と言われる……という話である。
といっても,今までのおどろおどろしい話に比べると,この都市伝説は最初からジョークであることが明かされている。初出は2001年5月24日,2ちゃんねるのラウンジ板「伝説の『鮫島スレ』について語ろう」スレッドであり,なんとなく事件の内容として面白くなりそうなネタをめいめいが投稿しまくった結果,生まれたネットロアだ。
![]() |
性質上,この話に中身はないので,話者によってオカルトでも陰謀論でも好きな形に改編できる。「都市伝説解体センター」ではこれを上手くストーリーに落とし込んでいるので,まだプレイしていない人はその目で確かめてみてほしい。筆者はこの記事を書きながら,鮫島事件が流行していた頃のネットは,何にも気にせずこんなジョークで純粋に盛り上がれたなあ……と想いを馳せてしまった。
![]() |
おわりに
以上「都市伝説解体センター」に登場する都市伝説を紹介……そして“解体”させていただいた。これ以外にも面白い都市伝説は山ほど存在する。筆者はいろいろな都市伝説を調べながら「本作がシリーズ化したら次はこれが登場するのではないか?」と妄想するのがとても楽しかった。発売からしばらく経つ今も大ヒット中の本作,気が早いようだが,続編にも期待してみたい。
朝里樹著「日本現代怪異辞典」(笠間書院)
廣田龍平「ネット怪談の民俗学」(早川書房)
「都市伝説解体センター」公式サイト